Kazuo Ishiguroの代表作「The Remains of the Day」は非常に思い出深い本なので驚きました。
ロンドン駐在中、隣人で「ママ友」として、6年間とても仲良くしていた文学に造詣が深いイギリス人の友人二コラに、
日本人が書いた素晴らしい小説があると薦められて読んだのが1990年。
オックスフォード大学で仏文学を学んだインテリで貴族の家柄の彼女に、
お薦めの本があったら教えて欲しいと話したら、この本を選んで届けてくれました。
当時流行ったシドニー・シェルダンの「ゲームの達人」という本を買って机の上に置いていたら、
「これは英文学を愉しむような文章の本じゃないから」とも。
そう言われると余計に興味がそそられて、「超訳本」というのを後に読み
二コラの言っていたことがよく理解できました。
彼女とお互いに子供を預け合いながらフラワーアレンジメントスクールに通ったがのが今の仕事の発端でもあります。
二コラのおかげで、私が学校の英語の授業でもなく、英語で一冊読んだはじめての本が「The Remains of the Day」となったのです。
二コラはうちに来るたびに「しおり」の場所をチェックして読み進めるのを励ましてくれました。
主人公が旅をするカンタベリーにも本の情景を思い浮かべながら訪れ、
帰国後に日本語訳「日の名残り」も読み、子育てで行けなかった映画館に久しぶりに足を運んだのもこの映画でした。
主人公は英国のマナーハウスの「バトラー」で、作者が日本人だとは信じがたい文章でしたが、
「日本人的な共通の情感」を尋ねられて、江戸時代の武士のような物語に感じたと答えました。
今日のNHKのニュースで早稲田の先生も同じような感想を言っていて、
心に残る一冊が喝采を浴びた嬉しい知らせでした。