捲土重来の春

卒業式の日の次男の忘れられない思い出があります。
ちょうど一年前の春のことです。

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息子の高校の卒業式後、教室で最後のホームルームが始まりました。
廊下に溢れんばかりの父兄で教室の後ろのドアからはすでに入れないほどの混雑。
教壇側の入り口を案内されてやっと入ったら、
生徒一人ひとりが親と先生に感謝を述べ始めたところでした。


状況が飲み込めたと同時に、出席番号二番の息子が立ち上がりました。
正面から入ったばかりの私にしっかり視線を向け、教室の全員に届くような張りのある声で

「お母さん、毎日美味しい弁当と食事、ありがとうございました。
僕は残念ながら浪人確定です。受験勉強をもう一年頑張らせてもらいたいので、
迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします。」と深々と頭を下げました。

母親との慣れ慣れしさを極端に嫌がるごく普通の男子高校生の息子からの突然の公開告白に
私は鳩が豆鉄砲をくらった様になってしまい、
「サポートしますので頑張ってください」としか言えませんでしたが、
ふと気がつくと私の隣で聞いていた2~3人のクラスメイトのお母さん達が感激して目頭を押さえていました。



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息子の学校は中高一貫の進学校で私立大学志願者のほとんどは合格を決め、
留学と国立の発表待ちのクラスメイトがほとんどの中、
「浪人決定」の息子の発言は勇気がいったはずです。



その日の宣言から、息子は自らの目標に向かって自律的に行動をはじめました。

ゲームとマンガの封印はもちろんの事、友達との交流さえも断って、
バスケの部活に励んでいた中高校生活とは一転して修行僧のような生活が始まりました。


無遅刻無欠席の皆勤の報告書が毎月予備校から届き、
息切れしないかと心配もしました。


私はこの2年パスポートを封印し、
できるだけ夜の外出を控えて食事に気を配る事ぐらいしか出来ませんでしたが、
自分の浪人経験を活かして息子の相談に乗り、思慮深く見守る父親の対応には尊敬を深めました。


キッチンの壁には夫からの「捲土重来を図るR君へのアドバイス」と書いた紙が張ってあります。
私は「ケンドチョウライ」の意味はおろか読み方さえ危ういのですが、
5項目ほどあって、「浪人生活は幅広い視野を持つことができ、必ず人生の糧になること」
と最後にあります。


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いくら頭で理解できても心配は心配。

母親の無力さに眠れなくなる夜もありましたが、
第一志望の大学から合格の知らせがようやく届きました。

息子に抱きつき涙が溢れるほど感激しました。

子供の成績を自分自身の成績だと勘違いしてしまうような
愚かな母親への息子からの最高のプレゼント。

Rくんありがとう★

合格した翌日、息子は高校のバスケの部活練習へとでかけました。
一足先に大学生になった友人達から山の様なマンガ本とCDを貸してもらって帰ってきました。
浪人生の友人たちも立派な結果を出していました。

交友を断ったかに見えた息子には切磋琢磨しあう友がいることが
いることも確認できて一安心。



やっと我が家にも春到来です。
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by livingphoto | 2015-03-02 22:00 | ライフスタイル

フォトグラファー今道しげみの楽しく幸せなフォトライフ


by 今道しげみ